あおむろひろゆきのてくてく子育て日記〈第12話〉「初めてのふたり旅」
パンパンになったリュックを背負って、泊まりのお出かけへ
帰りの特急列車は私たち親子以外誰もいない車両だったので、気持ち的には随分と余裕が持てました。一番後ろの座席で身を寄せて、窓際の席で流れる景色を見つめて鼻歌を歌う子どもの横顔を見ながら「ああ、僕は死ぬ時に、この瞬間を思い出すんだろうな」なんてぼんやりと考えているうちに、気が付くと涙がポロポロ。
そのうち外を見ていた子どもが泣いている私の姿に気づき、てっきり励ましてくれるのかと思いきや「あはは、泣いてる」と言いながら手に持っていたかっぱえびせんを私の鼻にブスーッと突き刺してきたので、思わず笑ってしまいました。子どもなりの気遣いなのかな。これもまた良い思い出です。
まだ子育てをして2年半ほどしか経ってないけれど、その短い時間の中で、自分が死ぬ瞬間に絶対に思い出すんだろうなあと思えるような出来事が数えきれないほどたくさんありました。今までも、そしてこれからも、この優しい思い出ひとつひとつが私の心の支えになることでしょう。
次の旅ははあなたの大好きなおかあちゃんも一緒に行きましょうね。
この連載は隔週金曜日の更新です。第13話は、2週間後の8月19日(金)に更新予定です。次回もお楽しみに!
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